ICF(国際生活機能分類)の書き方と活用方法

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医療業界ではよく使われているICF(国際生活機能分類)ですが、今後の医療と介護のシームレスな連携においてカギになるものと思われます。
しかしながら、介護業界ではなかなか触れる機会が少なく、いざ活用するとなると大きな労力を必要とするのが現状です。

現在、地域ケア会議の現場ではICFが積極的に活用され、他職種間の情報共有や話し合いのベースとなっています。

先日、ケアマネ向けにICFについての研修に講師として参加しましたが、
ICFを活用することで目の前の対象者の課題が見え、目標を立てやすくなるという意見を伺いました。

この記事では、ICFの書き方と活用方法についてご紹介します。
今後、ICFを活用できるようになりたいと思われる方は、ぜひ最後までご覧ください。

ICFの要素と特徴

ICFには「健康状態」「心身機能・身体構造」「活動」「参加」「環境因子」「個人因子」の6つの要素に分かれています。

6つの要素については

  • 健康状態:病気や怪我などに関する情報
  • 心身機能・身体構造:病気などの症状や心身機能の状態、物理的な身体の状態に関する情報
  • 活動:生活を送る上で実行する生活行為、家事行為、仕事、趣味活動、余暇活動などの実施状況や頻度、他人によるサポートの有無などの情報
  • 参加:地域社会の中で行う活動行為、家庭や職場などの役割などの実施状況などの情報
  • 環境因子:生活をする自宅や周辺地域などの情報
  • 個人因子:年齢や性別、社会的背景、職業歴、教育歴、性格、価値観など人物像がわかるような情報

というようになっており、それぞれプラス面もマイナス面も記載するようになります。
6つの要素はお互いに関連しており、対象者の生活への影響を多面的に評価することが出来ます。

ICFの書き方のポイント

ICFの最大限の力を発揮させるためのポイントは、各項目をまんべんなく記載することです。
どれか1つだけが多かったり、1つだけが少なかったりするとICFを最大限に活用することが出来ません。

各項目をまんべんなく記載するためには、評価・アセスメントが重要です。
ICF作成者は「健康状態」「心身機能・身体構造」「活動」「参加」「環境因子」「個人因子」の6つの要素についての情報を得る必要があります。
そのため、自ら対象者の評価を行ったり、家族や関係機関の方に情報収集をする必要があります。
これだけでもかなりの時間と労力を要しますが、最初から完成形を目指す必要はなく、足りない項目については随時追加したり、情報をアップデートしていけばよいのです。

また、実際にICF表を元に他職種で話し合いをしながらICFを作り上げていくことも良いと思われます。
専門職によっても、個人によっても視点は違うものです。
様々な人の意見を伺いながら、対象者の課題や目標を見つけていきましょう。

ICFの活用方法

ICFを活用する目的は様々ありますが、ここでは『課題の発見』と『目標設定』についての活用方法をお伝えします。
課題と目標を抽出するためには、『今後の生活への想い』を知っておく必要があります。
これまでどのような生活を送ってきて、これからはどのような生活がしたいかという気持ちの確認が必要です。

『今後の生活への想い』を踏まえ、ICFで整理された情報から、思い描く生活が送れていない原因を列挙し、上がってきた原因が解決可能なものかを判断し、その解決方法を考えます。
解決可能かつ解決方法があるものを課題として記載し、課題解決により獲得できる目標を設定します。

まとめ

今回はICFの書き方と活用方法についてご紹介しました。
ICFは対象者の生活の図面や地図のようなものです。
多くの情報が網羅できると具体的な課題や目標が見つかりやすくなります。

ICFがうまく活用することが出来るまでには時間がかかります。
そのためには、少しずつICFに触れ、チャレンジしていくことが必要です。

目の前の対象者の方へより良いサービスが提供できるよう頑張っていきましょう!!

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