WHO(世界保健機関)から健康リスクを軽減するためのガイドラインが発表されています。
このガイドラインは
“子供、青少年、成人、高齢者に対して、健康に多くの利益をもたらし、健康リスクを軽減するために必要な身体活動の量(頻度、強度、持続時間)について、エビデンスに基づいた公衆衛生上の推奨事項を提示している。”
WHO身体活動・座位行動ガイドライン (日本語版)http://jaee.umin.jp/doc/WHO2020JPN.pdf
とされ、多くの方が可能限り長く健康に生活を送るために必要な身体活動量について記載されています。
原著は英語での記載ですが、日本語で要約されたものもあり大変読みやすいものとなっています。
ここでは、WHO身体活動・座位行動ガイドライン日本語版の内容を紹介し、
介護予防関わるリハ職の視点も踏まえまとめてみようと思います。
ご興味のある方は最後までご覧ください。
内容
WHO身体活動・座位行動ガイドラインでは、6つの声明が出されています。
1、身体活動は心身の健康に寄与する。
定期的な身体活動は、世界の死亡者数の4分の3近くを占める心臓病、2型糖尿病、がんといった疾病の予防・管理に貢献する。また、身体活動は、うつや不安の症状を軽減し、思考力、学習力、総合的な幸福感を高める。
WHO身体活動・座位行動ガイドライン (日本語版)http://jaee.umin.jp/doc/WHO2020JPN.pdf
定期的に身体活動を行うことで、死亡リスクの高い病期や生活習慣病を予防することが出来るだけでなく、精神的な状態、生活の質の改善も期待ができるとされています。
身体活動は健康においても、豊かな生活を送る上でも重要ということです。
2、少しの身体活動でも何もしないよりは良い。多い方がより良い。
健康と幸福のために、少なくとも、成人では週に150~300分の中強度の有酸素性の身体活動(または、それと同等の量の高強度の有酸素性の身体活動)が、子どもや青少年では 1日平均60分の中強度の有酸素性の身体活動が推奨される。
WHO身体活動・座位行動ガイドライン (日本語版)http://jaee.umin.jp/doc/WHO2020JPN.pdf
健康や豊かな生活を送るためには、一定量以上の身体活動が推奨されていますが、推奨量の身体活動を行うことが難しい場合でも、自分自身の健康状態に合わせて少しでも身体活動を行うことが良いとされています。
身体活動量が少ない方は推奨量に近づけるように少しずつ増やしていくことを目指しましょう。
3、すべての身体活動に意味がある。
仕事やスポーツ、余暇、移動(ウォーキング、スケートボード、サイクリング)だけでなく、日常の生活活動や家事も身体活動に含まれる。
WHO身体活動・座位行動ガイドライン (日本語版)http://jaee.umin.jp/doc/WHO2020JPN.pdf
身体活動は座って安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する全ての動作を指すと定義されています(2)。
つまり、運動やトレーニングだけを指しているのではなく、身体を動かすすべてのものを指しているということです。
4、筋力強化は全ての人の健康に役立つ
高齢者(65歳以上)は、転倒予防と健康増進のために、筋力の強化だけでなく、バランスと協調(身体の各部位を調和して思い通りに動かせる能力)を重視した身体活動を取り入れるべきである。
WHO身体活動・座位行動ガイドライン (日本語版)http://jaee.umin.jp/doc/WHO2020JPN.pdf
人間の身体を動かすために重要な筋肉ですが、筋力強化をすることで疲れにくい身体になったり、障害の起きにくい身体になることが期待できます。
高齢者においては、筋力強化だけでなく、バランスや持久力、協調性のトレーニングを行うことが特に重要になります。
例えば、
- バランストレーニングでは、片足立ちや足踏み、腿上げ、大股歩行など
- 持久力トレーニングでは、散歩やバイク漕ぎ、水泳など
- 協調性トレーニングでは、立ち上がり練習、階段昇降など
が該当します。高齢者の介護予防のための運動については別の記事で紹介したいと思います。
5、座りすぎで不健康になる。
座りすぎは心臓病、がん、2型糖尿病のリスクを高める。座りっぱなしの時間を減らし、身体活動を行うことは健康に良い。
WHO身体活動・座位行動ガイドライン (日本語版)http://jaee.umin.jp/doc/WHO2020JPN.pdf
長い時間座っていると、筋肉や血流の機能などが低下し、健康状態に悪影響が出ます。
スポーツ庁の記事によると、日本人が1日に座っている平均時間は7時間で世界最長と言われているようです(3)。
WHOによれば「座りすぎ」は「世界で年間200万人の死因になる」とも言われているようです。
6、身体活動を増やし、座位行動を減らすことにより、すべての人が健康効果を得られる。
身体活動を増やし、座位行動を減らすことにより、妊娠中および産後の女性、慢性疾患のある人や障害のある人を含むすべての人が健康効果を得られる。
WHO身体活動・座位行動ガイドライン (日本語版)http://jaee.umin.jp/doc/WHO2020JPN.pdf
私たちが健康で豊かな生活を送るためには、座っている時間を減らし、身体活動時間を増やすことが必要ということです。
まとめ
WHOが発表している「身体活動・座位行動ガイドライン (日本語版)」について紹介しました。
今回は概要部分の紹介をメインとしました。
人生100年時代と言われるこの現代において、健康はとても重要なテーマです。
これを機会にご自身の生活を見つめなおし、健康で豊かな生活を送るための生活改善のための行動をしていただけたら嬉しいです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
引用文献
(1)WHO身体活動・座位行動ガイドライン(日本語版)
http://jaee.umin.jp/doc/WHO2020JPN.pdf
(2)健康づくりのための身体活動基準2013
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xpqt.pdf
(3)スポーツ庁Web広報マガジン
https://sports.go.jp/special/value-sports/7.html
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