―― 介護予防の視点から考える、高齢者に必要な備えとは ――
本日は熱中症警戒アラートが発表される地域もあります
日差しが強く、湿度も高い日が続いています。
今日は一部地域で「熱中症警戒アラート」も発表されるなど、体に負担のかかる暑さとなっています。
このような暑さの中、「また熱中症になるのでは…」と不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実際に、熱中症は一度かかると再発しやすくなると言われています。
しかも、高齢になると
・暑さを感じにくくなる
・喉の渇きに気づきにくい
・体の水分保持力が低下する
といった身体の変化が起こるため、気づかないうちに重症化することもあるのです。
✅ 1. 水分は「喉が渇く前」に飲む習慣を
熱中症予防の最も基本的なポイントが水分補給です。
しかし、高齢者は加齢により喉の渇きを感じにくくなる傾向があり、
「気づいたときには脱水状態だった」ということもよくあります。
予防のためには、1日1.2〜1.5Lの水分を“こまめに飲む”習慣が重要です。
特におすすめのタイミングは、
・起床後
・外出前後
・入浴前後
・就寝前
💡 リハビリの現場でも、「時間と行動をセットにして水分を取る習慣づけ」が効果的であることが分かっています。
✅ 2. 室内の暑さにも油断しない
熱中症は「外に出たときに起きるもの」と思われがちですが、実際には高齢者の熱中症の多くが“室内”で発生しています。
暑さに弱くなった体にとっては、
・風通しの悪い部屋
・エアコンを使わない我慢
これが命に関わるリスクになります。
室温の目安は28℃以下、湿度は60%以下です。
扇風機や除湿モードを併用しながら、無理せず快適に過ごす工夫を取り入れましょう。
💡 「エアコンは体に悪い」という思い込みが、熱中症の原因になることもあります。
命を守る道具として、上手に使いましょう。
✅ 3. 暑さに慣れる“体づくり”がカギ
暑さに慣れていない(=暑熱順化できていない)体は、熱中症に非常にかかりやすいです。
特に高齢者では、発汗や血流の反応が鈍くなっており、体温調整がうまくいかないことも多くあります。
これを防ぐには、軽い運動を日常的に取り入れることが効果的です。
たとえば、
・朝の涼しい時間に10分ほどの散歩
・室内での足踏み体操やラジオ体操
・椅子に座った状態での体幹ストレッチ
💡 リハビリ職の視点では、「動ける体を維持すること=熱中症予防」でもあり、
それはそのまま「介護予防」につながると考えています。
🔁 熱中症は、介護が必要になる“入り口”になることも
私たちの現場では、次のようなケースを多く見かけます:
・暑さで活動量が落ち、筋力低下→転倒→要介護となってしまう
・熱中症での入院をきっかけに、寝たきりや体力低下が進行する
だからこそ、「ただ熱中症にならないようにする」だけではなく、
“元気な体と生活を守る”ための予防として取り組むことが大切です。
✅ まとめ:熱中症を防ぐ3つの基本習慣
1. 水分はこまめに、喉が渇く前に
2. 室温・湿度の調整を我慢せずに
3. 毎日の軽い運動で、暑さに強い体をつくる
そして何より、「続けられる工夫」こそが介護予防の第一歩です。
厳しい暑さが続きますが、一緒に元気に乗り越えていきましょう!
🖊 発信者について
この記事は、介護予防を専門とするリハビリ職(理学療法士)が、
高齢者支援の現場経験をもとに、「実践的で続けられる」熱中症対策をお伝えしています。
📘 次回予告
次回は【第2回:水分補給編】です。
正しい飲み方とタイミングについて、より詳しく解説していきます。
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